研究紹介

高性能な線形ソルバ
線形ソルバとは連立一次方程式の求解法を意味します。当研究室では、応用分野で頻出する疎行列を係数とする連立一次方程式のソルバについて研究を行っています。このような疎な係数行列を対象とする場合、反復法が主に使用されます。共役勾配法やGMRES法,BiCGSTAB法などが応用分野でよく用いられる反復法です。当研究室では、電磁場解析や構造解析の標準解法であるICCG法(不完全コレスキー分解前処理付き共役勾配法)や大規模問題に優れた特性を持つマルチグリッド法の高速化に関する研究を行っています。例えば、混合精度演算の導入、新しい並列・ベクトル処理手法の提案、応用の特性を生かした反復法の収束性改善などの研究を行っています。

GPU向けアルゴリズム・実装手法の開発
近年のスーパーコンピュータの多くには、アクセラレータとしてGPUが搭載されています。GPUの性能を最大限に引き出すためには、高い並列処理能力を効果的に利用することが不可欠です。さらに、最近のGPUには特定の計算に特化した演算機構(例:Tensorコア)が搭載されており、それらを上手く利用することで大幅な性能向上が期待できます。このようなGPUの特性を最大限に活かし、疎行列計算などのHPCアプリケーションの計算核やアプリケーション全体を高速化するために、新しいアルゴリズムの設計や効率的な実装手法の開発に取り組んでいます。

スパコンでの高効率実装
スーパーコンピュータは、多数の計算ノード(1ノードが1台のコンピュータに相当)から構成されています。そのため、スーパーコンピュータの性能を最大限に引き出すには、単一ノード内での計算効率の向上に加え、複数の計算ノードをいかに効率的に連携させるかが重要となります。このような背景から、HPCアプリケーションについて、複数ノードで並列に実行可能なアルゴリズムや、ノード間の通信を削減する手法を開発しています。
2026年度のプロジェクト
| 研究費種目 | 研究課題名 | 担当 | |
|---|---|---|---|
| 科研費 基盤A | 計算科学・計算工学の未来を拓く次世代高性能線形ソルバ | 岩下武史 | (代表) |
| 科研費 基盤A | 次世代計算機の潜在能力を引き出すための科学技術ソフトウェアの刷新 | 岩下武史 | (分担) |
| 科研費 基盤B | 低ランク構造行列法の適用範囲拡大と多様な計算アーキテクチャの活用 | 岩下武史 | (分担) |
| 科研費 基盤B | 低精度計算を活用した混合精度型線形計算技術の深化 | 岩下武史 | (分担) |
| 科研費 若手 | アニーリングマシンを基礎とした近似的意思決定システムの研究 | 安戸僚汰 | (代表) |
| 科研費 基盤S | 超高次元分散ベクトル表現を基軸とする融合型AIコンピューティング基盤の開拓 | 安戸僚汰 | (分担) |
| 科研費 学術変革領域A | 極限光技術を生かすフォトニック近似コンピューティング | 安戸僚汰 | (分担) |
| JST ALCA-Next | グリーンで信頼される AI を支えるシリコンブレインキューブの実現 | 安戸僚汰 | (分担) |
| 科研費 研スタ | AI演算ユニットと親和する高性能疎行列線形ソルバの開発 | 鈴木謙吾 | (代表) |
| 科研費 若手 | 次世代疎行列計算基盤の確立と高階疎テンソル計算への展開 | 鈴木謙吾 | (代表) |
